オーバーレイ治療とは？

オーバーレイ治療とは

小児期に行う矯正の一つとして、奥歯の乳歯（第一・第二乳臼歯）に金属やプラスチックのかぶせ物（クラウン）を装着して、顎を適切な位置に誘導するのがオーバーレイ治療です。7～10歳前後のタイミングに行うことが多く、矯正装置としての役割を24時間維持できるのが特徴です。たとえば就寝時や学校での生活など、常に顎のバランスに働きかけることができるため、取り外し式の装置に比べて効果を得やすいという利点があります。

オーバーレイのメリット

顎の位置を正すことで、歯並びや咬み合わせだけでなく顎顔面の成長にも良い影響を与え、今後生えてくる永久歯を正しい位置に導きやすくするという考え方が根底にあります。子どもの頃から奥歯の高さを出すことで、下顎の前後位置や上下の歯の当たり方を調整し、出っ歯や受け口、開咬やガタガタの歯並びなどを骨格面から根本的に改善できる可能性があります。

床装置やマウスピース型矯正のように装着時間を守る必要がほぼなく、外す心配も少ないので、お子さんの協力度に左右されにくいという点も大きな特徴です。

歯への負担が少ない

むし歯がない歯を大きく削る必要はなく、単純に乳歯に被せる形で高さを足すことが多いため歯へのダメージが小さいこともメリットです。いずれ乳歯が抜ける頃にはかぶせ物ごと抜けていくため、装置の着脱時の負担が軽いのも子どもにとって安心できる部分です。

治療手順とメリット

オーバーレイ治療を始める際には、まず精密な検査と診断を行い、レントゲンや口腔内写真、顎の動きを記録する装置（CADIAXなど）を使って不正咬合のタイプや顎の位置、歯列のスペースなどを総合的にチェックします。その後、誘導面（ガイダンス）を備えたオーダーメイドのかぶせ物を作製し、乳歯に装着します。調整と経過観察のために1～2か月に一度通院し、適正な咬合状態が保たれているか確認を続けます。

デメリットもある

この治療は、取り外し式装置ではなく24時間矯正力が働く点が大きなメリットですが、治療初期は前歯が噛まなくなる（開咬状態）場合がある点や、銀歯使用時に目立つ可能性があるなどのデメリットもあります。また、自由診療扱いとなるケースが多いため、費用面の負担も留意すべき点です。

症例と日常での注意点

上顎前突（出っ歯）や受け口、さらに指しゃぶりや舌のクセが原因となる開咬、ガタガタの叢生など、さまざまな不正咬合に対応しやすいのがオーバーレイ治療です。装置を外す必要がないため、短期間で日常生活に適応することが可能です。治療初期は柔らかい食事を心がけ、徐々に通常の食事へ移行していくとスムーズに適応できます。

また、かぶせ物の周囲に汚れがたまりやすいため、歯みがきの際は保護者が仕上げ磨きを行い、フロスや歯間ブラシで清掃することが重要です。定期的な検診・調整を怠らないよう心がけ、万が一の装置の不具合があった場合には早めの対処が必要です。

将来を見据えた計画が大切

オーバーレイ治療は、取り外しの必要がほとんどなく、子どもの協力度に左右されにくいという大きな特長があります。顎の成長そのものを味方につけることで、単純に歯を並べるだけでなく骨格的に正しい噛み合わせや顔の形を育て、将来的な不正咬合の再発や歯科矯正での抜歯リスクを軽減できる可能性があります。歯や顎の成長に不安を感じる場合は、早めに歯科医院へ相談し、適切な時期に検査を受けることが望ましいです。

装着初期の違和感や食べにくさは、ほとんどのお子さんが1週間以内に改善し、指しゃぶりや口呼吸の習慣も治療と並行して見直すことが効果的です。保護者がしっかり見守り、モチベーションを維持することで、治療の成果はより安定しやすくなります。各歯科医院の実例や費用、治療期間の説明をしっかりと受け、納得のいく治療計画を立てることが非常に重要です。

治療後のケアとフォローアップ

定期検診の重要性

治療後も定期検診を継続し、咬合の状態や歯・顎の成長過程を確認することが大切です。1～2か月に一度の診察で、治療効果を維持しながら早期に問題を発見し、適切な対応ができる環境を整えます。これにより、長期的な安定性が高まります。

家庭でのケア方法

家庭でのケアでは、日々の歯磨きに加え、フロスや歯間ブラシを使った丁寧な清掃が推奨されます。特にかぶせ物周辺は汚れが溜まりやすいため、保護者の協力のもと仕上げ磨きを行い、むし歯や歯肉炎の予防に努めることが重要です。

よくある質問

治療の痛みはある？

初期の装着時や調整後に、一時的な違和感や軽い痛みを感じることがありますが、ほとんどの場合、数日で慣れてしまい持続的な痛みは発生しにくいです。

治療期間はどのくらい？

治療期間は個々の成長や症例によって異なりますが、概ね3～5年、または永久歯が完全に生えそろうまでの期間で計画されることが多いです。

費用について

検査・診断費用を含む場合、総額で数十万円かかることが多く、また、定期調整のために1回あたり数千円の追加費用が必要となる場合があります。詳細は各歯科医院でのカウンセリング時に確認してください。

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