小児矯正で使用されるヘッドギアとは？

小児矯正を行う際、治療効果を高めるためにヘッドギアを使用することがあります。このページでは、ヘッドギアを使用する理由やメリット・デメリットなどをまとめているため、子どもの矯正治療を検討している人は必見です。

ヘッドギアとは

ヘッドギアは口の外に装着する矯正装置で、正式名称を「上顎顎外固定装置」といいます。大人の矯正治療ではほとんど使用されないのは、あごが成長しきっていない小学生くらいの子どもを対象としているからです。

ヘッドギアは、金属製のフェイスボウと柔らかい素材でできたネックパッドという2つのパーツで構成されています。シンプルな設計で子どもでも簡単に使用できるため、無理なく治療を続けられるでしょう。

ヘッドギアを使用する理由

小児矯正中にヘッドギアを使用する理由として、まず上顎骨の成長を抑えるという点が挙げられます。上顎の骨を軽く押さえるように装着すれば、上顎の骨が前や下に突き出るのを防げるでしょう。

また、ヘッドギアは上側の奥歯を後方へ移動させるのにも有効な器具で、奥歯のかみ合わせを改善する目的でも使用されます。前歯や小臼歯の歯並び気になる場合はヘッドギアで奥歯を後方へ押し込めば、歯を正しい位置へ移動させるための隙間を作ることが可能です。

ヘッドギアの使用方法

ヘッドギアは、口腔内の装置に取り付けたフェイスボウを頭部や首で固定して使います。フェイスボウを引っかけるための装置は、上顎の両奥歯に付けるのが一般的です。歯をぐるりと囲むバンド型になっており、外側に穴が空いているため、そこにフェイスボウを差し込みましょう。

また、ヘッドギアは睡眠時に装着しますが、慣れないうちは違和感や痛みを覚えることがあり、寝つきが悪くなってしまうケースも存在します。子どもは大人よりも適応力が高いため、寝つきの悪さは数日程度で解消されることがほとんどです。

なお、ヘッドギアは装着時間が長いほど治療効果が現れやすいので、睡眠時以外にも積極的に装着すると良いでしょう。

ヘッドギアを使用するメリット・デメリット

メリット

成長期の子どもが装着対象となるヘッドギアは、上顎の骨や歯列をコントロールしやすいというメリットがあります。強い力が加わらないため小さな子どもでも身体的・精神的負担がかかりにくく、嫌がらず付け続けてくれる子も多いようです。継続的に使用し上顎の成長を調整すれば、正しいかみ合わせを実現できます。

また、ヘッドギアは着脱可能で、通学中や食事の際には外しても問題ありません。ただし、1日10～12時間以上は付けてなければならないため、家にいる時や就寝時は忘れず装着しましょう。

さらに、歯並びやかみ合わせの状態によっては、治療費が医療費控除の対象になることも。そのため、大人になってから治療を受けるよりも費用を抑えられるなどもメリットも存在します。

なお、ヘッドギアを使用した小児矯正治療の費用は、10万円～50万円程度です。中には高いと感じる人もいるかもしれませんが、マウスピース矯正などの目立たない矯正治療はもっと多くの費用がかかります。

デメリット

ヘッドギアは長時間装着するほど治療効果が高まります。一方で、決められた時間よりも装着時間が短ければ、治療が長期化する可能性が高いです。そのため、なるべく長い時間付けておく必要がありますが、「ヘッドギアを付けている姿を見られたくない」と感じる子どもにとっては苦痛になるかもしれません。

また、ヘッドギアはシンプルな設計あるがゆえに、フェイスボウやベルトに負担がかかると破損する恐れがあり、付けたまま激しい運動はできません。

まとめ

ヘッドギアは、上顎の成長や上下のかみ合わせをコントロールするための矯正器具です。装着時間が決められているものの取り外し可能なうえ、他の矯正治療よりも費用が安くなりやすいなどのメリットがあるため、身体的にも金銭的にも負担がかかりにくいでしょう。

一方で、見た目の問題で長時間の装着にストレスを感じる子どももいるかもしれません。しかし、成長期のうちに治療を行っておけば、大人になってから治療するよりも完了までの期間が短くて済みます。

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