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小児歯科での矯正は、その後の歯や顎の成長に大きな影響を与えるので、できるだけ早くやっておく必要があります。しかし、小児歯科ならどこでもいいわけではありません。正しい矯正を受けられない小児歯科を選んでしまうと、事態がさらに悪化してしまうこともあり得ます。ここでは、そうしたことがないように、優秀な小児歯科を選ぶためのポイントを解説していきます。
取り扱っている症例数が多いということは、それだけたくさんの患者さんを手掛けている優秀な歯科だということです。歯科によっては公式サイトで症例数を公開している場合もあるので、参考にしてみましょう。
また、一見評判のいい矯正歯科であっても、大人の歯科矯正の症例数は豊富にあるが子供の歯科矯正の症例数はあまりないという歯科もあるので、あくまで注目すべきは「子供歯科矯正の症例数」であることを忘れないようにしましょう。
歯科によっては、矯正歯科と小児歯科を併設しているところもあります。しかし、だからといって小児矯正の症例数が豊富であるとは限らないので注意が必要です。
根本的な点ですが、通院のしやすさは重要です。口内の状態や処置内容などによって差異はあるものの、歯科矯正を終えるまでには長期間に渡る定期的な通院が必要です。そのため、ストレスなく通院できるかどうかは大きなポイントとなります。
さらに、子供の歯科矯正の場合は、通学やクラブ活動、塾通いなどへの影響も考慮する必要があります。歯科があまりにも遠方だと不便なので、まずは家から近い歯科を見つけましょう。歯科が家から近ければ通学やクラブ活動などとの両立はしやすいですし、矯正器具の破損などの不意のアクシデントが発生したときでも対応しやすくなるという大きなメリットがあります。
近年では、大人・子供ともに抜く必要のない歯はなるべく抜かず、天然の歯を活かす歯科治療が推奨されています。もちろん、むやみに歯を抜かないということは間違いではありませんが、どんなケースであっても歯を抜かないことが常に正しいとは限りません。
歯科医院を探したことがある人なら、さまざまな歯科の公式サイトで「抜かない治療」を大きく取り上げているのを見たことがあるのではないでしょうか。そのため、歯科矯正の世界では歯を抜かない治療がいかにも常に最良の治療であるかのような風潮があります。また、患者さんの方も好き好んで歯を抜こうという人はいないでしょう。なるべくなら歯を抜かない矯正治療を希望するはずです。そうした事情から、多くの歯科医院、そして患者さん自身が「歯を抜かない矯正治療」に飛びつきがちなのです。
しかし、実際には抜くべき歯を抜かないで矯正治療をすると、かえって事態が悪化することも珍しくありません。そのため、矯正歯科を選ぶときには「歯を抜かない矯正治療」をしてくれるというだけでなく、「抜くべき歯はきちんと抜いてくれるかどうか」というのが大きなポイントとなるのです。
歯を抜かないことがかえって失敗につながる例としては、床矯正の失敗が挙げられます。床矯正とは、プラスチック製の矯正器具を用いて、歯列を横に広げるという矯正方法です。実は、この床矯正には「歯を抜かなくてもあごの骨を広げることで歯列矯正が可能」という誤解がつきまとっているのです。まだ歯が成長しきっていない成長期の子供の場合、この床矯正は特に上あごの歯列を広げるのに適しています。しかし、広げられるのはあくまで歯列のみであって、成長期だからといってあごの骨まで広げられるわけではありません。そのため、歯を抜かずに床矯正を行った場合、歯が傾斜する、かみ合わせが不安定になるといった失敗を招く危険があるのです。床矯正そのものが間違っているわけではなく、どんなケースでも床矯正で矯正できるという誤解がこうした失敗の原因となっているのです。
患者さんごとに異なるのは、口内の状態や症状だけではありません。その生活環境も一人ひとり異なります。そのため、矯正歯科を探すなら患者さんの生活環境も考慮して治療計画を立ててくれるところを選びましょう。特に、子供の矯正治療の場合は大人以上に担当医との相性が大きく影響します。成長期の子供の矯正治療では、成長に伴う矯正器具の微調整やストレスへの対処も重要です。そうした生活環境にも配慮してくれる歯科を見つけることはとても重要です。
優秀なスタッフがいるかどうかも歯科選びの重要なポイントとなりますが、その他のポイントの一つとして「日本矯正歯科学会の認定医がいるかどうか」を調べるといいでしょう。日本矯正歯科学会の認定を受けるためには、歯科医師免許試験の合格は当然のこと、5年間の専門的な研修、そして厳しい試験の合格を経なくてはいけません。つまり、日本矯正歯科学会の認定医がいる矯正歯科は、それだけで非常にレベルが高い歯科であると言えるのです。
歯科の公式サイトには院長・スタッフ紹介のページがありますので、そこのプロフィール・経歴欄を見て日本矯正歯科学会の認定医がいるかどうかをチェックしてみましょう。また、日本矯正歯科学会の公式サイトでは、地域ごとに認定医の所在を確認できるので、自分の居住地に認定医がいるかどうかを簡単に確認できます。
参照元:[PDF]日本矯正歯科学会公式HP:https://www.jos.gr.jp/asset/recognition_rule.pdf
矯正歯科に限ったことではありませんが、医療サービスを受ける際にはきちんとインフォームド・コンセントを果たしてくれるかどうかは重要です。特に矯正治療は長期間に渡って患者さんと歯科が十分な信頼関係の上で協力しあって進めていかなくてはいけません。そのため、治療についてきちんと説明してくれるかどうかは、信頼関係が結べるかどうかに直結します。
治療計画の説明の際には、メリットだけでなくデメリットも包み隠さず説明してくれるかどうかも確認していきましょう。特に、歯科矯正では痛みや矯正装置の見た目などのデメリットは確実に存在します。そうした部分までしっかり説明してくれる歯科なら、十分に信頼できるでしょう。
小児矯正を受けようとするときに、小児歯科と矯正歯科のどちらが適しているのかで迷う人もいるでしょう。どちらも歯の矯正を行うところではありますが、子供の扱いに手慣れている小児矯正なら小児歯科に行くのがいいでしょう。
また、小児歯科に限らず、歯科矯正を受ける際には学会の資格を持った「専門医」や「認定医」がいるところを選ぶことをおすすめします。「専門医」や「認定医」の資格を持った医師がいるということは、それだけでその歯科のレベルが高いという証明になるのです。
小児矯正では、誤った治療、不十分な検査などが原因で矯正が失敗してしまうことがあります。小児矯正は、乳歯と永久歯が混じっているときに行う第1期矯正と永久歯が生え揃ってから行う第2期矯正に別れます。まだ永久歯が生えていない段階での無理な矯正は、かえって将来の歯並びに悪影響をもたらすのです。また、十分な検査をしないまま矯正を始めると、矯正がなかなか終わらない、抜かなくていい歯を抜いてしまうと言った失敗を招きます。
矯正によって歯が予定された位置にまで移動し終わっても、それで終わりではありません。移動した歯は元の位置に戻ろうとするので、今度は後戻りを防ぐための期間である保定期間に入ります。保定期間中に子供が勝手に器具を外したり、途中で矯正をやめたりしてしまうとせっかく矯正した歯はもとに戻ってしまうので気をつけましょう。また、保定期間は1日に器具を装着しておく時間も決まっているので、きちんと守らなくてはいけません。
小児矯正の価格は、治療内容や歯科医院によっても異なりますが、第1期治療か第2期治療かによっても大きく変動します。第1期治療なら20~40万円、第2期治療なら50~90万円が目安となります。そして、第2期治療のみ行う場合よりも第1期治療から継続して治療を行っていたときのほうが価格はより低く抑えられるのです。これは、第1期治療を行うことで第2期治療の段階でやらなければいけない治療が減るためです。
歯科矯正中は、口内に矯正器具を着けているために歯磨きの際の磨き残しが出やすくなります。そのため、しばしば矯正期間中に虫歯になってしまうことがあります。矯正期間中に虫歯になった場合、矯正はいったん中断して虫歯の治療が優先されます。もちろんそうなると、その分だけ矯正期間が伸びてしまうので、保護者は矯正期間中は時に注意深く歯磨きや口内のチェックを行わなくてはいけません。
乳歯はいずれ抜け落ち、永久歯に生え変わります。それでは、乳歯の歯並びは矯正したほうがいいのでしょうか。歯列矯正は早いほうがいいとは言え、乳歯しか生えていない状態での矯正が必ずしも正しいとは限りません。乳歯の扱いは、その後に生えてくる永久歯の生え方やその後の歯列にも大きく影響するので、乳歯の歯並びが不安な場合は、速やかに歯科医に相談しましょう。
歯並びに悪影響を及ぼすことも多い親知らず。大人になってから抜歯する方も多いですが、小児矯正する前に抜いてしまったほうがよい場合もあります。親知らずを抜歯せずに矯正すると、親知らずが虫歯などの病気にかかるリスクが高まり、矯正後に歯並びが悪くなってしまう可能性も…。
歯並びは自然に元通りとはいかないので、親知らずを抜いた後に小児矯正するのが無難といえます。ただ、まれに抜歯しなくてよいケースもあるため、判断に迷ったら歯科医に相談してみましょう。
ワイヤーを始め、小児矯正の方法はさまざまありますが、マウスピース取り外しが可能な矯正装置です。歯並びや噛み合わせの改善を目的としたもので、いくつか種類があります。常時装着する必要はなく、毎日一定時間装着すれば済むのが特徴です。
子どもの負担は少なくて済む反面、子どもが毎日装着してくれないと、矯正に失敗してしまうことも。成功させるためには、ちょっとしたコツがいります。
小児矯正をするにあたり、気になってしまうのが価格ではないでしょうか。矯正方法や治療を受ける歯科医院によって変わりますが、最終的に数十万円の出費は覚悟しなくてはいけません。
もし少しでも負担を減らしたい方は、第1期の段階から小児矯正を行うことを検討しましょう。第1期治療をしっかりしておけば、第2期に余分な治療が不要となり、治療期間も短縮され、費用負担を軽減できる可能性があります。なお、一度に支払うのが難しい場合、各種ローンやクレジットカードの分割払いも検討しましょう。
歯並びは子ども一人ひとり異なるため、歯科矯正が必要になる場合もあれば、まったく問題ない場合もあります。最終的な判断は歯科医が行いますが、歯科矯正が必要になる歯並びは意外に多いのです。
例えば、出っ歯やすきっ歯など、目に見て歯並びが悪い時は歯科矯正を検討する必要があります。また、下あごが上あごよりも前に出ている、「受け口」という状態も噛み合わせに影響が出るため、歯科矯正がおすすめです。他にも、かみ合わせが左右にずれた状態の交叉咬合(こうさこうごう)など、歯科矯正が必要と判断される歯並びは色々あります。
一口に歯科矯正といっても、使用される器具はバリエーション豊富。例えば、マウスピース型のムーシールドや、プラスチックとワイヤーを組み合わせたバイオネーターなど、取り外しが可能な矯正器具があります。
一方、上あごの内側にネジで装着する急速拡大装置や、頭全体に装着するヘッドギアなど、かなり大がかりな矯正器具も。器具の選び方は、歯並びや歯科医の判断次第ですが、気になる方はしっかりと相談したうえで決めることをおすすめします。
MFT(口腔筋機能療法)とは、口腔周囲の筋力を向上させ、正常な状態を目指すためのトレーニングのことです。トレーニングを行うことによって、矯正治療の後戻りを防ぐ・咀嚼や呼吸などの機能改善などの効果が期待できます。訓練方法としてはスポット・ポッピング・ポスチャー・ボタンプルなどがあり、効果や目的などが訓練ごとで異なるので、状況に合った訓練を行うことが大切です。たとえばスポットであれば舌の正しい位置を覚えるためのもので、ポッピングは舌の筋力アップを図るトレーニングとなります。
状況によっても変わるものの、一般的に小児矯正では歯を抜くケースはほとんどありません。その理由として、子どものうちはアゴが成長段階なので、歯を抜くことなくスペースをつくることができるからです。抜歯をすることで口元の出っ張りが改善させやすい、早く治療が終わるなどと言ったメリットがあります。ただ歯を抜くことへの不安感・恐怖心も大きいため、実際におこなうかどうかは、信頼できる医師と相談しながら慎重に検討した方が良いでしょう。
矯正治療中の食事に関して、基本的には制限なく食べることができます。しかし、食べ物によっては装置のトラブルが起こりやすくなるので注意が必要です。ガム・モチなどの粘着性の高い物や、せんべいなどの硬い食べ物、カレーなどの色が付きやすい食べ物は注意しましょう。矯正装置をつけていると口内炎ができるケースもあるので、ビタミンB群やビタミンCを含む食べ物は積極的に摂るよう意識してください。また柔らかい食べ物であれば、とくに問題なく食べられるでしょう。
矯正は年単位の治療が必要で、矯正治療の平均期間は1年半~3年ほどです。中学生や高校生は成人矯正になるため2~3年ほどかかりますが、小児矯正の平均治療期間は成人矯正よりやや短めの1年半ほどで終わるのが一般的です。
治療開始時期によって治療期間が変わることや、治療とは別に保定期間も必要になることを頭に入れておきましょう。保定期間は歯並びが元に戻らないよう固定を行う期間で、治療期間とは別に3年ほどかかります。
小児矯正は、歯の型取りや装置を装着するとき、矯正装置を付けはじめたときなどに痛みを感じることはありますが、我慢できないほどではありません。子どもは歯の動きに対する適応力が高いため、もし痛みを感じたとしても短期間でおさまります。
口の中で矯正装置が当たる痛みや矯正装置のトラブルによる痛みは、担当歯科医に相談して調整してもらうようにしましょう。痛みを感じたときは、固い食べ物を控えたり痛み止めを使ったりする対処法があります。
矯正の治療期間は長いため、引っ越しやライフスタイルの変化などでやめざるを得ない場合もあります。小児矯正は、途中でやめることは可能です。ただし、途中でやめてしまうとデメリットがあるので気を付けましょう。
矯正を途中でやめると、歯が少しずつ元の位置に戻る後戻りが発生します。矯正治療を再開することはできますが、再開までに間が空いてしまった場合は初めての治療と同様に検査を行い、治療を一からやり直さなければいけません。
小児矯正の治療途中でも、転院することは可能です。引っ越しや進学によって通院が難しくなる場合は、早めに転院手続きを行いましょう。また、歯科医院との相性が良くない場合も転院の検討を。
ただし、可能な限りはひとつの歯科医院で治療を終える方が良いため、慎重に検討しましょう。
小児矯正でも、セカンドオピニオンを受けることをおすすめします。ひとつの歯科医院で診断してもらっただけでは、疑問や不安が残ることもあるでしょう。そこでセカンドオピニオンを受けることで、納得して治療を開始できます。
小児矯正はほとんどのケースにおいて医療目的で行われるため、医療費控除の対象となる可能性が高いでしょう。医療費控除の対象となれば、治療にかかる出費を抑えることができます。申請は確定申告で行うため、事前に準備しておくことが大切です。
おすすめ
小児矯正歯科
【選定基準】
三郷市、流山市、越谷市エリアで小児矯正を提供している歯科クリニック36院の中で唯一のサービス提供を行っているクリニックを紹介いたします。(2020年10月20日調査時点、編集チーム調べ)
・IS歯科クリニック新三郷:抜歯やブラケットによる矯正を行わない早期予防矯正治療「マイオブレース・システム」を提供している
・鈴の木こども歯科:日本小児歯科学会の専門医が在籍している歯科クリニック
・かみむら歯科矯正:歯科医17人、保育士4人が在籍している大規模な歯科クリニック
【矯正歯科治療について】
専用の矯正装置を使用することで歯並びや噛み合わせを治療していく治療法です。マウスピース矯正では、専用のマウスピース装置を装着して、歯並び等を整えていきます。健康保険対象外のため、全額自己負担となります。
<歯列矯正治療の費用と期間について>
矯正歯科の平均的な費用はおよそ60~120万円、期間については平均3年といわれています。クリニックや症状によって期間や費用は変動しますので、正確な情報はクリニックでお問い合わせください。
<副作用について>
矯正中は虫歯や歯周病、装置の接触による口内炎などになりやすくなる可能性や、金属の装置による金属アレルギーなどを起こす恐れがあります。正確な情報はクリニックへ直接ご相談ください。
<治療における医薬品・医療機器について>
治療における医薬品・医療機器の中には、厚生労働省の未承認医薬品、医療機器が一部ございます。その装置や機器・医薬品の入手経路や、諸外国における安全性、同一性能を有する国内の承認医薬品等の有無など、詳細については各歯科医院・クリニックに直接ご確認をお願い致します。